ウイリースキッパーは、ジャンプジャイブとよく似た動きをするので、まずジャンプジャイブをたくさん練習しました。フラットウォーターで、チョップで、頭ぐらいの波で、と様々な条件で来る日も来る日も、跳び続けました。また、後ろ足の位置を、フットストラップの前に置いてみたり、後ろに置いてみたり、ちょっと中心からずらしておいてみたりして飛び出方のアレンジをしました。
このような練習に、約6ヶ月ほど費やしました。
ジャンプジャイブでボードが簡単に180度回るようになると、今度は、調子に乗って360度、回転させることに挑戦しました。そう、ラッシュ・ランドルがメイクした「レイジースーザン」です。
レイジースーザンメイクの為にさらに板の蹴り上げ方を練習しました。後ろ足の回転方向へのはじくようなけり方。そして、(ここが重要です)前足の回転方向へのアシストを練習しました。この前足と後ろ足の微妙な連携がメイクのカギです。最初の120度を後ろ足の蹴り上げで回し、あと60度を前足の引き上げで回すのです。そして、残りの180度は、重力によって回します。
レイジースーザンらしきところまでコンスタントにボードが回るようになるには、さらに6ヶ月の月日が必要でした。
ジャンプジャイブとレイジースーザンの練習でボードを回すことには自信がついたので、次のステップに移りました。
今まで2つの練習は、ボードが体の前にあり、着水時ボードとおしりが同時に着水します。ウォータースタートの状態でフィニッシュする古典的なジャンプジャイブでした。ウイリースキッパーは、着水時にボードの上に立たなければなりません。ボードが先に着水して、その上に乗りさらに前に少し進むぐらいのランディングが必要です。このボードの上に立って着水することが結構高いハードルでした。なかなか、上手くボードの上に立つことができなくて、ボードのデッキに足を打ち付ける状態が続きました。そうしているうち、根本的にジャンプの飛び出し方が、ジャンプジャイブとウイリースキッパーでは違うことに気がつきました。そうです、ウイリースキッパーとジャンプジャイブは、似て非なるものだったのです。(ここが最大のネックです)
コツは、けり足の方向にありました。真下、あるいは進行方向と逆の方向、うしろ45度に蹴ります。
最初、ウイリースキッパーを見たとき、ジャンプジャイブして空中で回転しているボードのノーズを後ろ足でキャッチして上手い具合に着水のタイミングを合わせて滑らせるのだとイメージしました。古典的ジャンプジャイブの発展系だと考えたのです。
大間違い!そんなこと、中国雑伎団の人でも出来ないでしょう(もしかしたら、やるかな?)
古典的ジャンプジャイブは、やや前方のギャップにテールをぶち当てるように、前に蹴ります。(ここが問題なのです)前に蹴ると
当然ボードは体の前で回転します。回ってきたノーズも体の前にあります。その上に立つことは不可能なのです。
じゃあどうすれば良いのか?ボードの上に体が来るようにしながら、ボードを回すのです。そう、ボードの蹴る方向を、前ではなく真下に沈めるか、あるいは、進行方向と逆にうしろに沈めこむように蹴るのです(後に蹴れば、より体が前に出てボードの上に立ちやすくなります)。
具体的には、真下に(後方に)ボードを沈めるようにけり込み、ボードが水の反動で上がってきたときに風上側にボードを回転させるようにコントロールしながら引き上げます。初めは、体の真下でボードが回るのでちょっと怖いけど、なれるとOKです。そして、そのひき上げたボードがノーズの先端から着水します。ボードが空中にあるとき、前足をできるだけボードの回転をフォローする用にボードにくっつけて回してください。後ろ足は、真下に(後方に)蹴ってから空中でノーズ側のジョイントの後に位置するようにすれば立てます。
スタンディングバージョンのジャンプジャイブは、決して回転するノーズをキャッチするような離れ業的なトリックではありません。前足はボードの回転に合わせてボードから離れませんし、後ろ足は、ほとんど回転していないジョイント近くに置くからです。
どうです、出来そうでしょ!蹴り方さえ分かったら、立つのはとっても簡単です。ここまで出来ただけでも、とってもクールなトリックです。
ジャンプジャイブのスタンディングバージョンに慣れてくると、だんだんボードが滑り出すようになりました。飛び出し方に慣れてくるし、ボードの上に立った後、後ろ足をノーズの方に置き直せば着水してから、ノーズで走る時間が長くなります。ウイリースキッパーの完成です。そう、あっけないくらい簡単でした。ボードの上に立つまでの行程がかなり長かったのでちょっと拍子抜けするぐらいです。今思えば、かなり遠回りしたようですが、あのときの自分にはあれが最短コースだったのでしょう。みなさんは、もっと早くメイクできますよ、きっと。
もう一度まとめると、メイクのポイントは、古典的ジャンプジャイブのたくさんの練習と、その後の飛び出す角度の変更につきます。ただし最初から一足飛びに、後方にけり出してジャンプジャイブを練習しようとすると怪我しますよ(体がボードの真上にあり、下手してボードが裏返ってフィンの上に落ちると怪我します。分かりますよね)。しっかり、後ろ足と前足の協調性が養われるまで、古典的飛び出し方で練習しましょう。
ウイリースキッパーとバルカンは、最近のフリースタイルのベーシックです。是非、みなさんも少しずつ練習していってください。この2つができたら、フリースタイルの試合でかなり良いところにいけますよ。
「1000回、古典的ジャンプジャイブを練習すること。」
「その後、けり足を真下にけり出す。出来たら進行方向と逆のうしろ45度にけり出すぐらいのイメージで飛ぶこと。」
「ゆっくり飛び出すこと。」